不動産を売りだす前に、売却価格を予想することを「売却査定」といいます。
- 不動産屋が物件を見ずに予想する「机上査定」
- 不動産屋が現地で売却金額を精査する「訪問査定」
不動産の売却査定には、二種類の査定方法があります。
まずは、机上査定でおおまかな相場観を得て
「それならば売ろうかな?」と思える場合には訪問査定に進みます。
最近では、インターネットの一括査定が普及しています。
マンションの査定は「机上査定」で十分?
「机上査定」を依頼すると、不動産屋は入力された情報から売却金額を予想して「査定価格」を提示します。
現地調査をすることなく「机上計算だけで算出する査定方法」なので、「机上査定」とか「簡易査定」と呼ばれています。
物件を見ずに物件を査定するので、正確性は低くなります。
しかしマンション査定では、机上査定と訪問査定に大きな差がありません。
- 隣地にゴミ屋敷がある
- 南側に日当たりを遮る高い建物がある
- 土地に接する道路の幅が狭い
- 擁壁が古く壊れそうになっている
これらが一般的な外的要因ですが、現地に行ってみないと分からないことは多いです。
しかしマンションの査定では、マンションの外的要因は(不動産屋ならば)当然知っいて、あらためて現地を見る必要はありません。
マンションの机上査定は、ほとんど訪問査定とのズレがありません。
「訪問査定」は査定額を精査する
マンションの売却査定の場合、机上査定と訪問査定の金額の違いは、さほど大きくありません。
唯一、訪問査定で査定額がダウンするのは、お部屋の状態が良くなかった場合。
具体的に言うと、
- 荷物だらけで足の踏み場もなかったり
- 部屋でペットをたくさん飼っていて、臭気がきつかったり
する場合です。
こういうのは、実際に現場で見てみないとわからないものです。
一戸建ての場合は「机上査定」は、ほんの参考程度です。
現地を見てみないとなんとも言えないのが不動産屋的な意見です。
不動産屋が「訪問査定」をしたがる理由
ぜひ、お宅を訪問して査定をしたいのですが!
実際に物件を見てみないことには査定ができません!
訪問査定をゴリ推しする不動産屋が多いと、お客様からお伺いします。
しかし、不動産屋はそれほどお部屋の状態を気にしていません。
とくに売却しようとする不動産がマンションである場合は、ほとんどお部屋の中を見なくても査定額の見当がついています。
人が住んでいれば、お部屋や設備が傷んでいるのは当然だし、築年数によって経年劣化の度合いはだいたい想像がつきます。
登記簿謄本を閲覧すれば、専有面積を正確に知ることができます。
また、過去の成約事例(売れた値段)をレインズで確認すれば、売り出し価格の予想がつきます。
- 査定依頼者に会いたい!
- できれば、どの不動産屋よりも早く会いたい!
- もっと言えば、他の不動産屋に会わせたくない!
「お部屋の状態をチェックしたい」というのは不動産屋の口実に過ぎず、本当は「直接、所有者に会って話がしたい」。そして、あわよくば「その場で媒介契約を締結したい」というのが本当の狙いなのです。
不動産売却の第一歩が売却査定だとしたら、
つぎのステップは不動産屋に「売ってください」と依頼する媒介契約。
不動産屋は、この媒介契約を取りたくて必死になります。
他社に先んじて依頼者に会いたがるのは、このためです。
同じ質問で営業を比較する
不動産の営業なんてみんな同じだろ?
って思うかもしれませんが、能力の差は歴然としています。
ですから、訪問査定・内覧査定で腰を据えて不動産屋を選ぶ必要があるのです。
具体的には、いくつかの質問を事前に用意しておき、
査定に訪れた不動産営業の全員に質問するのがいいでしょう。
営業の答えに正解はありませんが、
あなたが納得することができれば、それが正解だと思います。
訪問査定は、不動産売却の第一歩。
このステップをいい加減に通りすぎてしまうと、後に苦労することになります。
付き合う担当者を決めることはとっても大切なことだと思います。
訪問査定・内覧査定の注意点
実際にお部屋を見せていただかないと正確な査定金額をお出しできません
こう言い切ってしまった手前、不動産屋は訪問査定で一通りお部屋の中を見て回ります。
まあ、実際にはお部屋のコンディションにそれほど興味がないんですけれどもね。
ただ、お部屋の掃除には人柄が表れるので、私たち不動産屋は自然に目が行きます。
一見、キレイに片付いているようでも、エアコンの上部や、コンセントカバーの上部にホコリが溜まっていたりすると、「普段から掃除はしない人だな!」と判断します。
また、本棚に並んでいる本のジャンルはチェックしてしまいますね。
スピリチュアル系な本が並んでいると身構えてしまうし、小難しい本が並んでいると面倒くさそうだと思います。
見せたくないもの・都合の悪いものは、訪問査定で見せる必要はないです。
壁紙の汚れや柱の傷は査定価格に影響しない
壁紙の汚れや、柱の傷などを心配される方がいますが、
査定には影響しないので、そのまま査定依頼をしてください。
よっぽどヒドイ破損がある場合には、訪問査定で営業が来たときに、現場の様子を見せて相談されることをおすすめします。
人が生活しているので、それなりの傷や汚れを織り込んで査定をしています。
ご心配なさらないでください。
あと、売却が決まった後も(基本的に)補修する必要はありません。
「現況有姿」という状態です。
買主が購入後にリフォームする
かなり、キレイにお使いになっていたとしても、中古住宅を購入されたほとんどのお客様が、購入後(入居前)にリフォームをされます。
買主さんは、ご自分の好みで壁紙を選びたいので、基本的に売主は補修をしなくて結構です。
補修しても、売り出し金額に差はほとんどないと感じます。
それよりも、整理整頓をしっかりやって、常に良いコンディションで見学を受け入れてくださったほうが営業としては売りやすいです。