賃貸の仲介手数料をめぐるトラブルが原因です。
- 東急リバブルが家賃一か月分の仲介手数料を受け取った
- 0.5か月分を超える報酬は違法だと賃借人の主張
- 一審の東京簡易裁判所では東急リバブルが勝訴
- 二審の東京地方裁判所は一転、東急リバブルの敗訴を告げています
賃貸の仲介手数料は0.5か月・1か月?
0.5月分なのか・・・?
はたまた 1か月分なのか?
- 【原則】賃貸の仲介手数料は1か月分(プラス消費税)まで受け取れる
- 【基本】貸す人・借りる人の両社から半分(0.5か月)ずつ受け取る
【例外】今回のケースはコレ!
- 貸す人が「手数料を払いたくない」とゴネたとき・・・
- 借りる人から全額(1か月分)を受け取ることができる
- ただし、借りる人が「貸す人の分(0.5月)も払う」と承諾を得たとき
なるべく単純に説明しました
借主が東急リバブルを訴えた理由
- 男性は2012年末に賃貸物件を内覧
- 内覧後に契約の意思を示した
- 2013年1月10日「20日に契約する」と東急から連絡
- 1月20日「手数料は家賃一か月分の約24万円」と記された申込書に押印
- 賃貸契約を締結し、仲介手数料約24万円分を支払う
調べたら仲介手数料0.5か月らしいじゃん・・
借主が支払う仲介手数料は0.5か月分が原則。
承諾を得た場合でなければ1か月分を支払うことはない。
なんて承諾してないし・・・
東急リバブルの反論
20日にもらった申込書に
「手数料は家賃一か月分」
て書いてあるし
納得したから 押印したんでしょ?
たしかに東急リバブルの主張通り、
「仲介手数料は家賃の一か月分を支払う」と記された申し込み書に押印しています。
賃貸の申し込みの意思表示だよ
普通は0.5か月だって説明されてないから・・
不動産屋がみずから不利になることを わざわざ丁寧に説明することはありません。
だから、賃貸の申込書に(ひっそりと)「手数料は1か月分」と忍ばせたのでしょう。
逆転判決となった争点
一審では、申込書に押印したことで、借主の男性が敗訴しています。
しかし、逆転勝訴となった二審の内容はこうです。
電話での仲介依頼が10日、申込書の押印の20日より前である。
仲介依頼が成立するまでに、仲介手数料一か月分の説明をしていないこと。
事前に承諾を得ていなかった(国交省の告示で原則とする)0.5か月分を超える手終了の受領が無効。
裁判にお金がかかったから
12万円返還されても赤字だよ
気づかずに支払う1か月分の手数料
賃貸を借りるときの仲介手数料は、例外があるため(今回問題となった)奥の手を使う不動産屋がいます。
部屋探しをする人の、ほとんどが意識することもなく1か月分の仲介手数料を支払っているケースが多いのではないでしょうか。
「そうなんだ」と思って
さらに調べる人も少ないでしょう
あとで間違っていることに気づいたとしても、裁判まで起こして、支払った仲介手数料の半分を取り返そうとする人は多くありません。
お金の問題じゃないんだよ
今回は、お金の損得ではなく、業界の矛盾を正してくれる人がいたために、問題が明らかになりました。
手数料無料で賃貸物件を集める不動産屋の現状
不動産屋としては、魅力のある物件が沢山あるのが理想的。
物件集めのため、賃貸物件のオーナーが有利な条件で募集します。
オーナーから仲介手数料は いただきませんので
(借主から余計にもらうけど・・)
貸主(賃貸物件のオーナー)ならば、仲介手数料を支払わなくてはいけない不動産屋と、無料の不動産屋があるならば、無料を選びたくなって当然でしょう。
仲介手数料の例外を認めないように変更するのがいいかもしれません。
売買の仲介では起こらない問題?
問題になったのは、賃貸の仲介手数料。
では、売買の仲介では手数料の問題は起こらないのでしょうか。
媒介契約を事前にするのが基本
売買では例外もありません
不動産売買は金額も大きいため、(おそらく)裁判で何度も争われたのでしょう。
問題が起これば、対処法ができます。
穴だらけだった宅建業法も精査されていったと願います。