不動産売却で、最初にすべきことは売却査定。
しかし、一括査定を利用すると、不動産屋ごとに査定価格が異なり戸惑ってしまいます。依頼者にしてみると「なんでこんなに違いが出るのか?」「最終的な売却価格はいくらなの?」という疑問が残るでしょう。
査定価格は相場よりも高く、その価格では売れません。
しかも、不動産会社は意図して、高めに盛った金額を提示しています。
高い査定価格は甘い蜜
理由は単純で、業者は不動産を売りだそうとする人に気に入られたいからです。
不動産売買は「売り手」と「買い手」があって成立します。
取り引きの対象(商品)が不動産(物件)。
不動産会社は、商品である物件が沢山あるほど、購入希望者(お客様)も増えます。
ですから、在庫物件を増やそうと不動産会社は必死になるのです。
商品の在庫がスッカラカンで、閉店セール後みたいになっているスーパーにお客さんは来たがりません。
逆に、天井まで商品が積み上げられた、倉庫のようなスーパーには、お客さんは並んででも入ろうとします。すると、さらに行列がお客さんを引き寄せるんです。購入するお客様だけでなく、商品を並べて欲しい売主も殺到します。
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査定金額を提示する不動産会社は、他の不動産会社と比較されていることを知っています。
くわえて、「高い査定額を提示したほうが喜んでもらえる」ことも体験的に知っています。
ですから、不動産の売却査定額は実際の成約価格よりも高くなってしまうのです。
価格交渉のために査定額を盛っている
じつは、不動産会社でも、実際にいくらで成約(売却)されるかは分かりません。
「神の見えざる手」って経済の有名な言葉があります。マーケットは市場が決めるものであって、政策や中央銀行の介入などの影響は一時的なものでしかない、というものです。
不動産の売却も同じで、「その物件をどうしても欲しい」という人がいれば、予想外に高い成約価格で売却できます。
一方で、早く物件を売却したくても、欲しいという人がいないと成約できません。
「500万円値引いてくれたら買ってあげてもいいですよ」
無茶な条件でも売主が応じれば、契約は成立します。それが「神の見えざる手」なんです。
中古不動産の売買では、この値引き交渉は珍しくありません。ほとんどの買主が「ダメモトで値切ってみる」というのが普通だといえます。
ですから不動産会社も、あらかじめ値引き交渉の余地を査定額に上乗せしておくのです。
一括査定を利用する意味
提出される机上査定が、根拠の薄いもので、実際にその通りの金額で成約しないとしても、一括査定を利用する意味は大いにあると思います。
- 近隣の業者で一括した相見積もりをとれる
- 多くの業者に話を聞く機会を得られる
- 競合することで査定額もアップする
- 提示した高めの査定額を実現しようと頑張る業者
最初から、一社だけに絞るのは危険です。
不動産業者も「自分しかいない」と知れば、気持ちが緩みます。
じつは不動産の査定は簡単です。新人の場合、入社前研修で査定額の仕組みを教えてもらい、査定書がつくれるようになって配属されます。
難しいのは、査定書を携えて売主に話す内容です。
どれだけ査定額の根拠を示せるか、高い成約価格を実現するために何をすべきかを示さなければなりません。
ここが不動産営業の真価を問われるポイントです。
ぜひ、うまく一括査定を利用してください。