不動産を売却しようとするとき、駐車場が原因で、なかなか売れなかったり、売れても値下げをしなければいけないことがあります。
自分で住んでいた時には気にならなかったことでも、(物件を購入する)お客様の視点では不都合もあるのです。
とくにマンションでは、駐車場の及ぼす影響が大きくなります。
マンションでは駐車場のルールを変えるのも、場所を変えるのも、設備を変えるのも、管理規約の変更を伴うので、総会での決議が必要になります。
売却時の注意点として、駐車場が原因でなかなか売れなかった事例を紹介します。
機械式駐車場は売りにくい
機械式の駐車場は人気がないです。
機械式駐車場は、車を収納して上下させるカゴに、車の重量制限・サイズ制限があります。つまり、そのマンションに住むかぎり、自由に車を選べないということです。
毎日、車の出し入れに5分かかるとすると、一ヶ月で150分、一年で1,825分(30時間)が機械式駐車場の待ち時間にかかることになります。
その地域に、そのマンションしかないのであれば、比較されることがありません。
でも、同じ地域に”自走式駐車場”のマンションがあると、そちらが選ばれる傾向があります。
多層の自走式駐車場は車両総重量に注意
「うちのマンションは自走式駐車場だから安心」と思っていると大きな落とし穴になるかもしれません。
2階建て以上の多層階自走式駐車場は、「車両総重量」で駐車できる車を制限しています。
新車の購入を決めて、契約したのですが、うちのマンションの自走式駐車場が「車両総重量」2000kg以下しか停めてはいけないことになっていることが分かりました。規定が車両総重量(車両重量+55kg x 乗車定員)で書かれていることを知らなかったので(マンション購入時にも特別説明ありませんでした)、どうしたものかと非常に困っています。
教えてgoo「駐車場の規定内にするため、車両総重量を軽くしたいのですが・・・」より
8人乗り以上のミニバンでも、この制限に引っかかります。
- ホンダのステップワゴン
- トヨタのノア・ボクシー
- 日産のセレナ
- 上記の上位車種
最近、よく売れているハイブリッドカーは、充電池が重いので7人乗りでも厳しいかもしれません。
どんな車が該当するのかは、車メーカーのオンラインカタログで「諸元表」を参照すると分かります。
よく売れている車種がこの「車両総重量2トン規制」に引っかかるので困ります。不動産屋としては、マンションを探しているお客様に子供が二人以上いたら、この手のマンションは最初から紹介できません。
子どものサッカー遠征試合で、順番で車を出すこととか頻繁にあります。こんなとき、ミニバンタイプの車が重宝されますね。キャンプが趣味のご家族なんかもミニバンタイプの車を希望されるので厳しいです。
マンションの間取りが4LDKなどのファミリータイプなのに、ミニバンが駐車できないって、矛盾を感じてしまいます。
一戸建ての場合は前面道路の幅員に注意
一戸建ての場合には、マンションほどの制約はありません。駐車場が使いにくければ、購入したあとで改変することができるからです。
しかし、自分一人では変えられないものがあります、それが前面道路。
建築可能な土地は、必ず幅員4メートル以上の道路に、敷地が2メートル以上接している必要があります。ただし、「2項道路」と呼ばれる例外規定があって、4メートルに満たない(細い)道路でも、家を建ててもいいでですよ!ということになっています。
建築基準法では、(原則)建物の敷地は幅員4メートル以上の道路に接している必要があり、その要件を満たさないと建築は認められない(接道義務)。しかし、古くからある既成市街地では4メートル未満の道が多いため、沿道の建物がほとんど既存不適格となり、建替え不可(建築確認が下りない)となってしまう。2項道路は、(原則)道路の中心線から水平距離2メートル後退(セットバック)した線を道路の境界線とみなすことによって、建替えを認めることにした緩和規定である。
「2項道路」wikipediaより
この前面道路が狭い(細い)2項道路に建っている家は、駐車場問題で売りづらいときがあります。
前面道路が狭いと、駐車で切り返すことができないんです。
売買される土地が広ければ、敷地内で切り返しができるので大丈夫です。でも、そんな大きな土地ばかりではありませんね。
さらに、お向かいの土地が原っぱとかだと、多少余裕がありますが、塀が建っていたりするとよっぽど運転に自信のある方でないと物件を購入する気が起きません。
駐車できるかもしれないけど、軽自動車限定になるかもしれません。