査定額が違う(異なる)場合にはどうすればいいのですか?
マンション売却を検討しています。
まだ、頼んでいないのですが、
一括査定を利用すると不動産会社ごとに査定価格がバラバラだとネットに出ています。
仮に6社に査定を依頼して、
それぞれの査定額が違うまま、
全ての不動産会社と一般媒介を締結。
違う価格が入り乱れた状態で、マンションを売り出しても問題ないのでしょうか?
当サイトにお寄せいただいた、不動産売却査定に関する質問にお答えしています。
売り出すことは可能ですが・・・
ご質問いただき、ありがとうございます♪
一括査定で、不動産屋からバラバラな査定額が提示されたとき、売主は悩みますね・・・。
- 高い査定額に統一して、全社から一般媒介で売り出す
- 高い査定額を提示した一社に専任媒介で売り出す
- 査定額の平均価格で、全社から一般媒介で売り出す
- バラバラな査定額のまま、全社から一般媒介で売り出す
一括査定~媒介~売り出しまで、上のような選択肢が考えられます。
このうち、1~3までは、よくあるパターン。
一般媒介で複数の不動産会社から売り出す場合は、売り出し価格を統一するのが一般的です。
今回、ご質問をいただき、頭を悩ませているのは4番の「査定額がバラバラで、違う販売価格で複数の不動産会社から売り出してもいいのか?」という点です。
私の不動産営業としての経験では、このようなケースに遭遇したことはありません。もちろん、現場で同様の質問をされることはあっても、訪問査定のときに「売り出し価格は揃えるのが普通です」と答えてきました。
ただ、理論上は複数の不動産会社から別々の販売価格で売り出すことは可能だと考えます。理由は、宅地建物取引業法、及び、一般媒介契約書の雛形に禁止する文言が記載されていないからです。
結論としては、非明示型の一般媒介契約を複数の宅建業者と締結するときは、それぞれの販売価格が違っても問題ないと考えます。
上が、私たち不動産営業が、売主と一般媒介を締結する際に用いる「一般媒介契約書」です。
特約がない限り、売主が重ねて依頼する宅地建物取引業者(不動産屋)を明示する義務がある
下に、重要部分を抜粋しました。
この契約は、次の3つの契約型式のうち、一般媒介契約型式です。
重ねて依頼する宅地建物取引業者を明示する義務を負います。重ねて依頼する宅地建物ときは、その根拠を明らかにして説明を行います。
取引業者を明示しない契約とする場合は、その旨を特約するものとします。・一般媒介契約型式
依頼者は、目的物件の売買又は交換の媒介又は代理を、当社以外の宅地建物取引業者に重ねて依頼することができます。2 甲の通知義務
一甲は、この媒介契約の有効期間内に1に表示する宅地建物取引業者以外の宅地建物取引業者に重ねて目的物件の売買又は交換の媒介又は代理を依頼しようとするときは、乙に対して、その旨を通知する義務を負います。
バラバラだと売り出した後に問題が起こる
マンションの売却を依頼された不動産屋は、(普通は)レインズに物件を登録します。
しかし、非明示型の一般媒介を締結した宅地建物取引業者(不動産屋)は、レインズへの物件登録をしないでしょう。なぜなら、一般媒介の場合、レインズへの登録をする義務はなく、そのうえ他の不動産屋に物件の売出しを知られてしまうデメリットしかないからです。
問題が起こるとすれば、依頼を受けた不動産屋が、SUUMO・Yahoo不動産などの不動産ポータルサイトに、売却物件を掲載するときでしょう。
ポータルサイトに、同じマンション・同じ階数・同じ間取り、なのに違う価格の売却物件が複数登録されている。
不動産会社も混乱しますが、ネットで物件検索をするエンドユーザー(買主)が最も混乱するのではないでしょうか?
◯×マンションの、A・B・C・Dという4つの部屋を内覧させて下さい。
このような内覧希望があっても、紹介できるお部屋はたった一つしかないのですから・・・。
まとめ
特別な事情がない限り、一般媒介であっても同じ販売価格に揃えるほうが良いでしょう。
運良く高い販売価格の不動産屋から申し込みが入っても、後から同じ部屋が安く売られていたと知った買主からクレームが入るかもしれません。
「不動産との出会いは縁」と言われるように、一度ケチのついてしまった物件は、その後もなかなか売れません。
きっと、「不動産屋から提示された査定額で売り出さなければならない」という誤解が生み出した質問なのではないでしょうか?
売り出すマンションの所有者はあなたです。売り出す価格について、不動産屋は(根拠を持って)意見をいうことはできますが、最終的に価格を決定するのは売主である、あなたです。
より良い不動産営業に出会えることを心よりお祈りいたします。