祖父から生前贈与された二階建ての「店舗兼住宅」があります。
築40年以上と古い物件ですが、1階部分が店舗、2階部分が人の住めるスペースになっています。
その不動産の立地は、四国の田舎なのですが、駅前の商店街に面しています。
ご多分に漏れず、シャッターの閉まった店舗もまわりに多くありますが、(その近辺では)一等地と言えると思います。
これを売却しようと不動産屋に相談したところ、「リフォームしないと売れない」と言われ500万円をかけてリフォームしました。
これが3年前のことで、この物件がいまだに売れていません。
最近、不動産屋を替えようかと、他の不動産屋に査定をしてもらったところ、査定金額は900万円と言われています。
リフォーム代の500万円を差し引くと400万円にしかなりません。売却するためにリフォームしたのに、と悔しい思いです。
こんなことって、よくあることなのでしょうか?
当サイトにお寄せいただいた、不動産売却に関する質問にお答えしています。
事前リフォームは不確実性の高いギャンブル
- 案内(見学・内覧)で感度が出るように
- 汚い部屋よりキレイな方が早く売れるだろう
- リフォームしたほうが高く売れるのでは?
- 長く住んだ家だから、きれいにしてから売りたい
売却時に、不動産屋からリフォームを勧められることは少なくないようです。
しかし、私は不動産の売り出し前リフォームは不要だと考えています。リフォーム不要の理由は単純で、リフォームにお金をかけた以上の効果が売却時に期待できないからです。
今回、ご質問で寄せられた例は極端ですが、500万円リフォーム代をかければ、(プラス)600万円高く売れるのが確実なのであれば、売主としてはやるべきでしょう。しかし、そんなケースは10件に1件もないと考えます。
買主は、売主の趣味でリフォームした内装を好むとは限りません。
自分で買おうとする家は、壁紙ひとつとっても自分の好みで選びたいと思うのが普通です。
この理由は、不動産屋とリフォーム業者が儲かるからです。不動産屋(営業個人も)はリフォーム業者にお客様を紹介するとリベート(紹介料)がもらえます。
他に、地方の不動産屋の場合にはグループ会社に建設部門やリフォームの部署があったりします。会社は利益を追求するのが当然ですから、お客様からいただく報酬を最大化しようとするためにリフォームの提案をするのでしょう。
不動産屋とリフォーム業者しか儲からず、売主にも買主にも得にならない事前リフォームはすべきではないというのが結論です。
リノベーション物件は仕入れが安い!
そうなんです~!
最近は、中古住宅の古さを生かしたリフォーム(リノベーション)をして、物件の価値を再発掘するような売り方がもてはやされていますね。
リノベーション物件って
掲載された写真で見ると、オシャレすぎて死んでしまいそうなのに、
現地で内見すると、残念でガッカリしすぎて発狂しそうです・・・。
そもそも、そのままでは買い手がつかない不動産だから、しょうがなくリノベーションをします。
写真を見て、「オシャレ~♪」とか感じるのは、物件の販売戦略にまんまとのせられている証拠ですね。
物件を売るためにリノベーションをして、投資した資金を回収するために、カメラマンを雇い、オシャレな写真でお客様を集めます。すべて不動産を売るための商業活動なのです。
商売であるためには、やっぱりそこに儲けがなければなりません。高いリノベーション費用をささえるのは、なんといっても仕入れの金額の安さが鍵になります。そのままでは誰も買い手がつかない、古くて汚い物件を超安値で買い叩いて、リノベーションをかけて再販売しています。
しかも、ただリノベーションをすれば不動産が売れるというわけではなくて、雑誌に掲載してもらったり、インターネットの特集記事に取り上げてもらったりしなくてはなりません。素人が安易に手を出しても失敗することが必至の世界です。
不動産屋にリスクを背負わせる
では、いつまでも売れる見込みがない、リフォームもしてはならないとなったら、どうすればいいのでしょうか?
そんな場合には、不動産の買い取りが最良の選択肢でしょう。買い取り業者が不動産を買い取って再販売します。
買い取り業者がリスクを取って、リノベーションをかけたり販売プロモーションを仕掛けます。ただし、買い取り価格は、少々安くなります。
売主の心情としては、時間をかけ、一般仲介で高値を追い求めることには、夢があるかもしれません。
しかし、5年後の1,000万円を夢見るより、いま確実に得られる500万円の方が現実的なのではないでしょうか?
なかなか売れない物件をお持ちのようでしたら、不動産買取を検討される良いキッカケとなればいいなと思います。