地元の不動産屋に売却を依頼したのですが、売却開始から一年が経ってもまったく売れる気配がありませんでした。
売却していたのは90坪弱の敷地に建つ築30年以上の一戸建て、販売価格は9,000万円です。
このままでは、何年経っても売れないのでは?
焦った私が不動産屋に相談すると、「高くて買い手がいないので値下げして、買い取り業者に下取りさせましょう」と提案されました。
たしかに一年待っても売れなかったので、私は不動産屋の言うとおり7,000万円に値下げして買い取り業者に下取りをしてもらいました。
売却から3ヶ月ほどが経ち、「売却した家がどうなっているのか?」気になった私が家が建っていた場所に行ってみると。家は解体され植木もなく、造成されて3区画に分割されて、一区画3,000万円前後で売られています。
3区画の合計が9,000万円。
売れないからと私は2,000万円も値下げさせられたのに、結局同じ販売価格で売るのかと絶句してしまいました。
しかも、その土地の売却を担当しているのが、私に2,000万円安くしろ!といっていた不動産屋なのです。
私は、不動産屋と下取り業者がグルになって騙されたのでしょうか?
当サイトにお寄せいただいた、不動産売却査定に関する質問にお答えしています。
買取業者は必ず利益を出さなければならない
ご質問ありがとうございます。
値下げして手放した家(土地)が、結局、高く売られていたというのはショックだったでしょう。
担当した不動産屋がどのような売り方をしていたのか分かりませんが、少なくとも一年間販売活動をしていたのですから、そのまま売り続けても売れない可能性があります。
下取り業者は、再販売をするために不動産の仕入れを行うので、建物の解体・造成・分筆・ガス水道の整備などをした後で、仕入れ値よりも必ず高く売れなければ利益が出ません。
7,000万円で購入した物件を7,000万円で売っていたら、下取り業者は倒産してしまいます。
土地を分割すれば買える人が多くなる
地域が分からないので、なんともいえませんが、
約90坪の敷地面積は、宅地としては大きな部類に入ります。おそらく毎年の固定資産税の支払いも大変だったのではないですか?
大きな敷地を魅力的に思う買主さんは少なくありませんが、現実的に宅地の売買代金に9,000万円を支払えるお客様はそれほど多くはありません。
まして建築後30年を経過した家がのっている敷地であれば、自分のプランで建て替えしたいと考えるのが普通です。
土地代プラス建て替え費用を考えると、簡単に手を出せる物件ではありません。
でも、3分割した後の30坪くらいの敷地であれば、住宅用地として購入できるお客様の数は格段に増えます。
広い敷地の不動産売買では、建売業者に買い取ってもらい、分割して再販売するのは、不動産屋の常套手段なんです。
同じ不動産屋が販売している理由
下取り業者に仲介をした不動産屋が、分譲後の再販売も担当しているって、売主さんから見ると胡散臭い感じがするかもしれません。
この商習慣を不動産業界では「専任がえし」と呼んでいます。ほとんどの場合、専任がえしで同じ不動産屋が土地の再販売にからむことになります。
不動産屋としては、(分割後の)分譲販売を専任で担当できるのは大きなメリットです。3件の取引を仲介することが確実なので間違いなく儲けることができます。
だから不動産屋は、専任がえしがある下取り業者を選んで売主に紹介します。
下取り業者としても、次に同様な下取り案件があったとき、間違いなく不動産屋に紹介してもらえるように、「専任がえし」で義理を通しておきたいのです。
問題なのは不動産屋の説明不足
このような不動産取り引きは、頻繁に行われています。
大きな敷地を分割して、分譲販売は常套手段なのです。
担当していた不動産屋にしても、下取りを提案した時点で分譲販売する絵を描けていたはずです。
売主さんとの感情のもつれが起きた原因は、不動産屋の説明不足ですね。
下取りの時点で「分譲販売することがある」と言っていれば問題にはならなかったのではないでしょうか。
言いにくいことも言える担当者
言いにくいことほど、先に説明しておくことが不動産売買では大切です。
しっかりコミュニケーションをとれる不動産営業でないと、様々な取り引きの場面でストレスになりかねません。
信頼される不動産屋選びが安全な不動産取引の要となるでしょう。