不動産仲介では、トラブルや当事者の事情で売買契約が取り消し・解約になることがあります。
そんなとき、支払った(支払うはずの)仲介手数料が売主に戻るか心配ですね。
解約(解除)の理由で、仲介手数料が返金されるので確認しましょう。
仲介手数料は二回に分けて半分ずつ支払う
不動産仲介では、売主が支払う仲介手数料は半分ずつ二回に分けるのが一般的。
これは、不動産協会の推奨している仲介手数料の支払い(受領)方法です。
売買契約締結後、引渡しまでの間に、何らかのトラブルで不動産取引が取りやめになることがあります。そうなると契約の当事者は「仲介手数料を払いたくない」となることが多いのです。
そんな場合に宅建業者(不動産会社)が仲介手数料をとりっぱぐれる事のないようにという不動産協会の措置なんでしょう。
ローン特約の契約解除は仲介手数料が戻る
売却する不動産の買い手(お客様)が、物件の購入にあたり住宅ローンを使う場合には「融資利用の特約(通称:ローン特約)」というものが契約に付加されます。不動産売買契約の標準書式では、第17条に見られます。
融資の全部または一部の金額につき承認が得られないとき、または否認されたとき、買主は、売主に対し、表記契約解除期日までであれば、本契約を解除することができます。
簡単に言い換えると「銀行から住宅ローンの承認が得られなかったら契約は解除です」ということです。不動産売買契約が解除されると、支払った仲介手数料は返却されます。
手付解除は仲介手数料が戻らない
不動産の売買契約には「手付解除」というものがあります。これは、売買契約締結後で、物件引渡しまでの期間に「どうしても売る(買う)のをやめたい」となったときに、契約を解除することができるものです。
逆に売主が解除する場合には、売買契約締結時に受け取った「手付金」を買主に返して、そのうえで手付金と同額を支払わなければなりません。
買主が解除する場合も、売主が解除する場合も、理由があって取りやめるわけでしょうから、「迷惑料」だといえると思います。
手付解除となった場合の仲介手数料ですが、過去の判例をみても戻ってきません。
- 仲介手数料の支払い義務は売買契約の成立
- 手付解除のタイミングでは、すでに売買契約が成立しています
- 物件の引き渡し有無は仲介手数料に影響しません
債務不履行による契約解除も仲介手数料が戻らない
債務不履行による契約解除でも仲介手数料は戻りません。
売主の債務不履行とは、物件の引き渡しができなくなること。
これは売主の都合なので、不動産会社への仲介手数料は支払わなければなりません。
ただし、不動産会社との交渉次第で支払いを免れることも多いようです。
一度ダメになっても「また売りだすから」と告げれば、「では半金だけ・・」とか「次回には全額いただきますから」と言ってくれることもあるでしょう。