離婚による財産分与で自宅の売却価格を調べることになりました。
担当の弁護士さんに「不動産屋さんにお願いして自宅の売却価格を調査してもらってください」ってサラッと言われたのですが、不動産屋さんに離婚と財産分与のことは話したほうがいいですか?
また、離婚の財産分与で損しない方法とかってあるのでしょうか?
よろしくお願いします。
当サイトにお寄せいただいた、不動産売却査定に関する質問にお答えしています。
査定段階では離婚と財産分与は話す必要がない
不動産の売却査定を頼むときに、離婚で家を売ることを話すべきか悩まれているようですが、不動産査定の段階では「離婚で家を売る」と話す必要はありません!
夫婦の離婚が原因で、ご自宅を売却される方は少なくありませんよ!
正式にご自宅を売却することになった時点で、専任の担当にだけ「離婚するから」と伝えていただければ結構です。また「離婚が原因で自宅を売却する」からと言って、家の査定金額が下がるわけではありませんのでご安心ください。
不動産屋に売却査定を依頼した場合の例をご紹介します。
まだ、家を売却するかどうか分かりませんが、査定金額だけだしていただけますか?
- 近隣とのトラブルが原因なのか
- 売却して住宅ローンが完済できるか
- ローンの滞納、管理費・修繕費の滞納はないか(マンションの場合)
- 家族がその家で自殺したりしていないか
不動産屋は、売り出した先のことを心配して売却理由を尋ねるに過ぎません。
しつこく尋ねられた場合には「両親の具合がわるいので、同居をしてあげようかと検討しています」とだけ答えておきましょう。
財産分与で250万円も得をする売却査定
ご質問をいただいた方は、弁護士さんに「売却金額を調べてください」と言われましたね。これは、財産分与の金額を決定するための準備です。
離婚の財産分与とは?
夫婦が離婚するときに精算する財産分与とは、婚姻生活中に築いた夫婦の共有財産を1/2に分けることを言います。
- 結婚後に購入した自宅も共有財産で財産分与の対象
- 住宅ローンが残っていてもOK
- 売却金額からローン残債を差し引いた金額を1/2に分ける
- 共有登記でなく、配偶者の名義でも財産分与の対象
- 専業主婦でも財産分与は1/2
- 先に自宅の売却査定を取った人が得をする
まずは、自宅の一括査定
財産分与の対象になる自宅は、不動産一括査定を利用して、なるべく多くの不動産屋に査定を依頼してください。
売却査定では不動産屋によって、査定額がバラバラです。この査定額の価格差は500万円以上になることがあります。
査定額を比較する
6社の不動産屋から自宅の売却査定が出揃ったら、査定額を比較をします。
- A不動産—6,000万円
- B不動産—5,800万円
- C不動産—5,500万円
- D不動産—5,600万円
- E不動産—5,600万円
- F不動産—5,700万円
B不動産が最も高い査定額で6,000万円、D不動産が最も安い査定額で5,500万円になりました。
この時点で自宅の査定額に500万円の金額差があることがわかります。
査定額を選び、弁護士に報告
一括査定で出た査定額から住宅ローンの残債を差し引いた金額が、財産分与の対象になります。
ローンの残債が5000万円であった場合、下の図のように財産分与の対象金額に差が出ます。
さて、あなたはどの査定額を選んで弁護士に報告しますか?
- A不動産の場合は、1,000万円の財産分与(1/2)で500万円
- C不動産の場合は、500万円の財産分与(1/2)で250万円
きっと、A不動産の6,000万円査定か、C不動産の5,500万円査定のどちらかを弁護士に伝えますね。
価格差のある一括査定で、財産分与を選ぶメリット
実際に、離婚して家の売却が終わるのは、ずっと先のことでしょう。しかし、財産分与は離婚時にするのが前提になっています。
そのため、不動産屋の提示した売却査定金額を参考に分与する資産金額を決定してしまいます。
意外に高く売れたから・売れなくて安くした、と言って離婚後に再精算をするのは、ごく少数だと伺っています。
- 財産分与する立場
- 財産分与される立場
どちらの立場であるかによって、選んで弁護士に報告する査定額が違ってくるはずです。
どちらの立場でも、査定額を選べるメリットを有効に利用してください。
担当の不動産屋が決まったら「離婚で家を売る」と伝える
今後、離婚問題の進展があって、実際にご自宅を売却することが決まったら、
不動産会社と担当営業が決まった後で、「離婚のために売却する」ことを伝えてください。
離婚は、買主に告げなくてはいけない事項には該当しませんので安心してください。
不動産営業には簡単に、「離婚するので家を売却します」とおっしゃってください。
離婚の事情を事細かく説明する必要はなくて、その説明だけで不動産営業にとっては十分な説明です。