「あぁ、それは、離婚して引っ越すことになったので・・・・。」
「すでに、妻と子どもは出て行ったのでここに戻ることはありません。」
さびしげに語るご主人。
まだ片付いていないカウンターキッチンには、お子さんの写真立てが飾られていました。
- 見学に来た人にマンションの売却理由って聞かれることはありますか?
- 直接、尋ねられなかったとしても、いつか言わなくてはいけないのでは?
- 買おうとしているマンションが離婚したって縁起が悪くないですか?
- できれば、ご近所にも知られることなくマンションの売却も済ませたい
マンションの売却理由が「離婚」だと、言う必要はありません。
ただし、そのマンションが共有名義なら、トラブルになるかもしれません。
なぜ売却理由を尋ねるのか?
マンションの売却理由が、夫婦の離婚だというのが恥ずかしい。
こういう気持ちは、よく分かります。
同様にローンの返済が苦しくなったから。
という売却理由も、以前は多かったように思います。
不動産屋は「売却理由」を必ず尋ねます。(だから嫌われるのかな?)
買主に尋ねられる可能性があることは、どんな情報でも仕入れておく必要があるからです。
- 同じマンションでトラブルを起こす人はいないか
- マンションの上下階・左右に隣接する部屋で騒音はないか
- この部屋に幽霊が出たりするのではないか
- 自殺や殺人事件のあった部屋なのではないか
中古マンションを購入しようとする人が、気にしていること・前に住んでいた売主に尋ねたいことは、上記のような理由です。
売主が離婚するかどうかは、買主は興味がありません。
担当営業には、離婚と伝えるべき
そのマンションを買おうとしている人は、売主の婚姻関係について、それほど興味がありません。
ですから、マンションの売却理由を尋ねられたときに「離婚」という必要はありません。
- 親の介護が必要になったので、売却することにしました。
- 職場に少しでも近いところへ引っ越すことにしました。
- しばらく賃貸に住んで一戸建てを買おうかと思います。
多少、無理のある売却理由でも、まったくの嘘でなければ買主さんにそう伝えてもいいでしょう。
ただし、不動産屋の担当営業には、正直に離婚の話はして欲しいですね。
もしかして、その嘘がトラブルを引き起こしそうならば助言することができるからです。
本当に「買いたい」という意志を示したお客様にだけ言う必要があるかもしれませんね。
とくに新婚生活を、その部屋で始めたいと考えているカップルには、前オーナーの離婚を気にされる方もいらっしゃいます。
離婚のことを告げずに、契約・引き渡しまでしても、契約不履行にも契約解除も求められません。
黙ったまま引っ越した後で、噂好きの近所の人に「あの人、離婚したからマンション売ったのよ」と言われてしまうのが痛いです。
トラブルになりかねないのは◯◯のとき
さて、ここまでマンションの売却理由は離婚だと言わなくても大丈夫、という話をしてきました。
しかし、必ず言わなくてはいけない場合が一つだけあると考えます。
それは、マンションの名義が共有の場合です。
離婚される時って、円満に別れることは少ないのでしょう。
「妻に連絡が取れなくって・・・」
マンションから出て行ったが最後、近寄りもしないし、電話にもでないというパートナーは多いです。
マンションを夫婦の共有名義で購入した場合は、(基本的には)必ず夫婦二人の売却意志を確認する必要があります。
二人の所有物であるマンションを、一人の意志で勝手に売ってしまうことはできません。
二人で買ったものは、二人で売らなくてはいけないのです。
ただ、メッチャ非協力的な(元)奥さんとかいるんですよ、たまに。
- 契約日をすっぽかしたり
- 引き渡しを忘れていたり
(元)旦那が憎くてわざとやっているのか、すでに興味が無いのかもしれません。契約や決済引き渡しがスムーズにいかないと、売主・買主の双方にとって迷惑になります。
事前に、売主の一人である、元パートナーが、決済に同席しないことがわかっていれば、司法書士の先生と相談して、事前に対処することができます。
マンションを買ったときに共有名義にしたかどうかを忘れてしまった人は、「登記済権利証」「登記識別情報」「登記簿謄本」などを確認することで分かります。
心配だったら、不動産屋の担当営業に相談してください。